
マネージャー2年目がまもなく終わろうとしている。マネージャーといっても、ほとんど中間管理職みたいなもの。現場のプレイヤーとしての実務にも絡まれつつ、チームのマネジメントもこなす。ぶっちゃけ、毎日が「綱渡り」のよう。
体力的にもキツいけど、最近もっとも自分を削っているのは、仕事の量じゃない。上司との「反りの合わなさ」と、それに伴う精神的な消耗。
今日、ようやくひと区切りつくはずだった案件で、またしても「事件」は起きた。
「現場の納得感」を無視する横槍
その案件は、部署のメンバーと何度も膝を突き合わせて練り上げたもの。現場のリアルな課題を解決するために、みんなで「これだね」と合意して、進めてきたプランだ。
ところが、最終確認のタイミングで、上司から例のごとく横槍が入った。
「ここは私のイメージと違う」
「もっとこうできないの?」
出た。いつものやつだ。 客観的なデータや現場の状況に基づいた指摘なら、まだ納得できる。けど、上司の指示はいつも「自分の好み」と「過去の成功体験」の押し付け。せっかく積み上げてきたチームの総意が、上司の気まぐれ一つでひっくり返されそうになる。
この瞬間に感じる、あの「あー、またか……」という絶望感。呼吸が浅くなり、胸のあたりがギュッと締め付けられるような感覚。正直、モチベーションなんて一瞬で底をつく。
「押し返す」という名の、孤独な戦い
ここで「はい、分かりました」と言ってしまえば楽になれるのかもしれない。上司の機嫌は良くなるし、波風も立たない。
でも、それをやったら、私を信じてついてきてくれているメンバーはどうなる? 納得感のない仕事を押し付けられる部下の顔を想像すると、どうしても引き下がれなかった。
そこから、必死の説得が始まった。「現場の運用ではこの形がベストなんです」「メンバーもこの方針で動く準備ができています」角が立たないように言葉を選びつつ、でも芯は曲げないように。上司のプライドを傷つけないように配慮しながら、こちらの正当性をじわじわと突きつける。
1時間近いやり取りの末、ようやく上司が引き下がった。当初の予定どおりに進められる。チームのプランは守られた。結果だけを見れば、完勝だ。
勝利の代償は、空っぽになった心
話合いを終え、自分の席に戻った時、ガッツポーズをする余裕なんて、1ミリもなかった。あったのは、椅子に深く沈み込みたくなるような、鉛のような疲労感だけ。
「よし、勝った!」なんて思えない。「なんで、普通に良い仕事をするために、こんなに神経をすり減らさなきゃいけないんだ?」 という、乾いた虚しさだけが残る。
社外の競合と戦うならまだしも、同じ方向を向いているはずの社内の、しかも上司を説得するために、自分の全エネルギーを使い果たしてしまう。これこそが、中間管理職の「隠れたコスト」だと思う。
マイクロマネジメントは、部下のやる気を奪うだけじゃない。それを押し返そうとするリーダーの心まで、ボロボロにしていく。事細かに指示され、一挙手一投足を監視される息苦しさは、徐々に「自分で考えること」を馬鹿らしくさせていく毒のようなものだ。
今日はもう、自分を甘やかして寝る
帰りの夜道、冷たい空気が妙に心地よかった。 頭がずっと熱を持っていて、何をしていても上司とのやり取りがフラッシュバックする。「もっと別の言い方があったかな」とか、「また明日から風当たりが強くなるかな」とか、考えなくてもいいことが頭をよぎる。でも、今日はもう、考えるのをやめようと思う。 現場を守った自分を、少しだけ褒めてあげてもいいはず。
コンビ二で、いつもは買わないお酒を買った。 これを飲んで、熱い風呂に入って、早めに布団に入る。 泥のように眠って、来週にはまた、メンバーの前で「前向きな上司」を演じられる自分に戻らなきゃいけない。中間管理職2年目。 この「すり減り」とどう付き合っていくかが、これからの大きな課題になりそう。
とりあえず、今日はお疲れ様、自分。